人食い一族 ソニービーン伝説

これは14世紀後半のスコットランドのイースト・ロジアンで起こったとされるソニービーン一族の起こした猟奇的事件の話である。

 事の発端・・・

ビーンの父は庭作りや廃棄物処理などの日雇いの労働に従事し、ビーンは若い頃、父の手伝いをしながら生計を立てていました。しかし粗暴で怠惰な性格のビーンは次第に父の仕事の手伝いが嫌になりある日家を飛び出してしまいました。

 

家を飛び出したビーンは、町で気の合う一人の女性(アグネス・ダグラス)と知り合います。意気投合した二人は互いを生涯の伴侶と決め、ギャロウェイ付近にある海岸の洞窟で暮らすことになります。

 

二人が暮らすことになった洞窟は、満潮時になると入り口が海面下に隠れるので人の目にはつきにくく、二人にとっては十分な住み家でありました。洞窟での生活は二人の性に合っていましたが、当然のごとく収入はなく、食うに困った二人は生活のために付近を通る通行人を襲って金品を奪うことを思い付きます。

二人は通行人や旅人を襲うようになり、犯行を行った際には必ず相手を殺して死体を洞窟に隠すようにしました。

 

二人は奪った金品で食料品を買うなどしてなんとか食いつないでいましたが食べていくには十分ではなく、飢えた二人は次第に殺した人間を食べ始めるようになっていきます。

ソニービーン

洞窟入り口に立つビーン。後ろの女性は人間の足を運んでいる。

大家族の形成・・・

洞窟でこのような生活を長く続けていくうちに、二人の間には沢山の子供が出来るようになります(その数14人)。

さらにその子供達は青年期になると洞窟内で近親相姦を繰り返すようになり、ビーンの孫は32人にも増え、ビーン家は総勢48人の大家族となっていきました。

 

ビーンの子や孫達はまともな教育を受けなかったので、野人同様でまともに言葉を喋ることも出来なかったそうです。

 

ビーン一族は組織的に(まるでオオカミが群れで狩をするように)犯行を行うようになっていきます。襲う時間は主に夜間で相手は必ず5人以下と決め、襲う時は相手の逃げ道まで予想した上で人員を配置するなど徹底したものでした。

 優れた殺人スキル

ビーン一族の殺人スキルはとても高く、優れたチームワークで通行人や旅人を一人たりとも取り逃すことなく犯行を行ったとされています。犯行後、死体は洞窟に戻されバラバラにされて食べられました。余った肉は樽に漬けられ、骨は野生動物が襲ったように見せかけ近くのビーチなどに捨てられたそうです。

そのためビーン一族に狙われて生還できるものはほとんどなく、ギャロウェイ付近の海岸では謎の失踪事件が多発しているとされ、住民の不安を払拭するために治安当局は犯人を見つけるために組織的に調査を開始し、ある者は洞窟にも注目しましたが、とても人がそこに住めるとは考えずに洞窟は早々と調査の対象からは外されました。

 

調査団は少しでも疑わしい人間がいればすぐにでも逮捕し、そのなかには無実の罪で処刑された人も多数いたようです。

 

ただ、その後も失踪者が相次いだことにより、地域住民の間では神隠しや悪魔の仕業のような謎の失踪事件と見なされていて人々を恐怖に陥れていました。

 犯行の発覚と逮捕

ビーン一族は25年にも渡り犯行を続けてきましたが、遂にそれにも終止符が打たれることになります。

 

ある日いつものように通行人(この時は一頭の馬に乗った夫婦)を襲ったのですが、夫は戦闘に熟練した者で、剣とピストルで巧みに抵抗を続けます。戦闘中に妻が落馬すると、ビーン一族は妻を捕らえて殺すことは出来たが、その時大人数の集団が現場近くまで接近してきたため、ビーン一族も姿を隠すしかなく、運良く夫は馬に乗って逃走することに成功しました。

逃げた夫が役所に駆け込むことによりビーン一族の犯行が露見します。

 

役所からの報告を受け、事態を重く見た国王は自ら400人近くの兵と猟犬を連れ、ビーン一族の逮捕に赴きます。

 

現場に到着した国王率いる捜索隊は付近を捜索するが、海岸付近のビーン一族の隠れ家(洞窟)をなかなか見つけることが出来ずにいました。

 

しばらく捜索を続けていると猟犬が何かの匂いに反応し洞窟の入り口を発見しました。洞窟付近では何かが腐ったような異様な匂いが立ち込めており、兵士達が意を決して一斉に中に入ってみると、そこには壁からぶら下がっているいくつかの身体の部分や、手足で満たされた樽、多数の人間の遺体に囲まれたビーン一族を見つけました。

これによりビーン一族は全員が逮捕されましたが、一族は逮捕の際には暴れたりもせずあっさりと捕まります。

 

ビーン一族は、その犯行の悪質さから裁判を受けることも出来ずに全員が惨い方法で処刑されました。

 事件の真偽・・・

このビーン一族の事件の話はロンドンのニューゲート監獄の犯罪カタログに掲載されているものが一般的に広まっており、歴史家からは、公文書や出版物などには出ていないことからほんとにあった話かどうか疑わしいとの声も出ているようです。

詳細はわからないのですがあくまでも伝説としてお伝えしておきます。